2020年前半からのパンデミックは国際物流に大きな影響を与え、コンテナ船の深刻な遅延や人員不足によって製造業のサプライチェーンも多大なダメージを受けています。
こうした影響により納品先への製品供給に苦慮していたバルブメーカー様の解決事例をご紹介いたします。
中国からの輸入貨物を必要とするさまざまな企業様にとって、活用の価値があるサービスです。ビジネス展開の参考になれば幸いです。
【 HDS=Hot Delivery Serviceの略。本船入港当日の輸入申告・国内発送により、最速でお手元にお届けするサービスです。】
お客様のご紹介
・建築や船舶、工業などに不可欠なバルブの製造販売を手掛けるバルブメーカー様
・主に中国、東南アジアから製品や半製品、部品の輸入および日本からの輸出を展開
お客様の状況と課題
・パンデミックの影響で中国の広州にあるお客様の代理工場から香港への国内輸送トラック手配が困難となり、香港〜大阪港の物流がストップしていた。
・広州〜香港間のトラック料金が著しく高騰していた。
・ロックダウンでまったく荷動きがない時期が続いた。
・香港からの貨物到着のリードタイムが、1ヶ月以上になることもあった。
・日本国内工場の最終工程に支障を来したことで出荷計画が乱れ、大幅な納品遅延および納期遅れによる機会ロスも発生していた。
ASIAN EXPRESS SERVICE (HDS)を利用したソリューション
通常ルートとして利用されていた 広州▶香港▶大阪 のコンテナ便の代替ルートとして、 広州▶上海▶大阪 ルート※によるASIAN EXPRESS SERVICE (HDS)を提案しました。
(※広州、深圳トラックターミナル~上海フェリー~大阪・神戸一貫輸送)
①華南地区から上海経由で輸送コストを大幅削減
広州-香港間のトラック料金が爆発的に高騰した影響で、華南地区から香港行きのトラック手配が難しくなったため、フェリーが就航する港として最も近い上海港行きのトラック輸送に切り替えていただくことで、トータルの輸送コスト削減に貢献しました。
②フェリー便の活用で、コンテナ便遅延の影響を避けてリードタイムを短縮
パンデミックならびにロックダウンの影響によりコンテナ船の遅延は深刻な事態に。こうした状況下でも遅延なく運行していたフェリー便を代替ルートとしてご利用いただき、日本国内到着までのリードタイムを大幅に短縮することができました。
③確実なデリバリーで納品先様への納期遅れを回避
スケジュールを厳守したフェリー便の定時定曜日サービスを利用することで、確実な部品調達が可能となり、国内工場での生産工程も計画通りに進めていただけます。納品先様への納期遅れの回避にもつながります。
広州▶上海▶大阪ルートのASIAN EXPRESS SERVICE (HDS)導入を決めたポイント
・遅延混雑しているコンテナ便と比較し、フェリー便は運航スケジュールの遅延がほとんどなく、確実に出港する。
・広州から上海までのトラック便の輸送距離は長い(1,500km:日本の本州の長さ程度)にもかかわらず、高騰した香港行きのトラック便より料金が安くなった。
・コンテナ便は、混載貨物搬入に最低でも本船出港の2日前のCFS CUT日までに搬入する必要があるが、フェリー便は本船出港前日の夜8時まで港湾倉庫への搬入が可能。搬入までの猶予時間が長く持てる利点がある。
・日本国内到着後、倉庫への貨物搬入および倉庫からの出荷もスピーディである。その為、入港遅延が常態化したコンテナ船よりも計画的に管理がし易く、在庫コントロールができる。
・リードタイムの短さで比較するとエアー便が優れているが、輸送コストはフェリー便の方が圧倒的に安い。
・スケジュールを守った確実な納品により、納品先様に安心感を与え信頼関係を維持できる。
実際に得られた導入の効果
・コンテナ便なら1ヶ月前後かかる輸送を約1週間に短縮、
・エアー便並みの短いリードタイムでありながら、コンテナ便並みの低料金で輸送できた。
・広州トラックターミナルからセイノーロジックス上海代理店のトラック網を利用して輸送し、上海~大阪フェリーに接続することで、日本側入港日の想定が容易になった。
・大阪入港当日中に輸入通関を完了、その後、西濃運輸の全国ネットワークを生かした路線便にて発送し、入港日翌日には貨物を受領できた。
・国際物流は輸出入担当者間のコミュニケーションが滞ることも多いが、セイノーロジックスのサービスでは営業担当とカスタマーサービスが現地代理店と適切に情報共有をしており、スムーズに貨物を輸送できた。
今後の展開
国際コンテナ物流の現状は、依然として遅延および混乱が続いています。
弊社ASIAN EXPRESS SERVICE (HDS)の特色は国際フェリーと日本国内の配送ネットワークを組み合わせた安定感のあるリードタイムです。
加えて、荷揚げと荷降ろし双方で要する作業日数が短いこともあり、短納期で大きなアドバンテージがある輸送サービスです。
物流BCP対策(非常事態における代替策)のひとつとしても、フェリー便という選択肢をご活用いただけるよう、ASIAN EXPRESS SERVICE (HDS)をご提案していきたいと考えています。
今後もますます利用していただきやすいサービスにすべく、エリアの拡充を進めて参ります。
アジア、東南アジアからの輸入に関わる事業者の皆様は、ぜひお気軽にご相談ください。