近年、日本酒が世界各地でブームを巻き起こしています。日本酒の輸出量は年々増加しているものの、火入れをしていない生酒は繊細な取り扱いが必要なため、品質を保ったまま現地まで運ぶには徹底した保冷管理が必要です。一度だけ火入れをした生詰酒や生貯蔵酒だけではなく、二度火入れをした日本酒は常温に置いておくことは可能ですが、日が当たったり温度が高い場所で輸送・保管すると品質が変化してしまうため冷蔵保管することが推奨されます。
今回は台湾を中心に日本酒を取り扱っているお客様から、日本酒の輸出事情を伺いました。
日本酒の海外ブームと台湾の日本酒事情
日本酒の海外市場における売上はますます勢いを増しています。国税庁の「酒類の輸出動向」によると、2022年度の清酒の輸出総額は13年連続で最高額を達成しており、輸出総量も過去最高を更新しました。特に高価格帯のプレミアムな日本酒が海外では人気を集めており、今後もトレンドとなる見通しです。
出典:国税庁「最近の日本産酒類の輸出動向について」
台湾でも日本酒の人気は年々高まっており、財務省の貿易統計によると日本酒の輸出国別金額は中国、アメリカに次いで、3位に位置しています。
輸出金額上位10か国・地域
順位 |
国(地域)名 |
2023年上半期の輸出額(単位:百万円) |
対前年同期増減率 |
1位 |
中華人民共和国 |
18,528 |
+12.2% |
2位 |
アメリカ合衆国 |
12,612 |
▲22.8% |
3位 |
台湾 |
6,492 |
+4.8% |
4位 |
大韓民国 |
5,125 |
+112.1% |
5位 |
オランダ |
4,641 |
+83.8% |
6位 |
香港 |
4,520 |
▲25.1% |
7位 |
シンガポール |
4,109 |
▲2.9% |
8位 |
オーストラリア |
3,782 |
+31.3% |
9位 |
フランス |
2,914 |
▲3.9% |
10位 |
英国 |
1,119 |
+10.1% |
出典:国税庁「最近の日本産酒類の輸出動向について」
台湾国内で日本酒は、戦前から大手メーカーの主要銘柄が輸入されていたり現地で製造されていたこともあったりと馴染み深いものではありますが、日常生活で飲まれるものではありませんでした。
しかし近年では、日本文化ブームに伴い日本産のプレミアムな日本酒がちょっとした贅沢品として老若男女問わず親しまれています。
20代の若者の間では有名な銘柄よりも、目新しいものにも興味を持たれる傾向があります。もともとは日本文化に通じていることを誇示するため、おしゃれできらびやかなラベルやボトルの日本酒を好む傾向があり、日本であまり名前を知られていないような銘柄でも見た目が美しいものを中心に人気がありましたが、次第に正しい日本酒の知識を持つ人が増えてきたこともあり、現地の販売者側も高品質を維持している日本酒を提供したいと考える方が増えつつあるようです。
日本酒を輸出する際のハードルと国の輸出支援施策
海外需要の高い日本酒ですが、輸出にはいくつかの課題があります。
特に障害となるのは品質保持の問題です。生酒は高温や急な温度変化に弱く、常温保存では品質がどんどん落ちてしまいます。そのため輸送時は一定の温度で管理できるリーファコンテナを使わなければなりません。また現地で日本酒の正しい保管方法が理解されておらず、常温のまま倉庫や店頭で保管・陳列されてしまい、せっかく冷蔵で輸出しても常温保管下に置かれることにより品質が劣化してしまうケースもあります。フレッシュな日本酒を求める消費者に日本で製造され適正に供給されたものと同じ状態で味わってもらうためには、正しい温度管理の知識が重要です。
また台湾における日本酒の関税は、2019年に40%から20%に緩和され、地方創生や日本産酒類のブランド価値向上等の観点から、国も積極的に日本酒の輸出を推進しています。
農林水産省は日本の食品全体の輸出額を2025年までに2兆円、2030年までに5兆円とする目標を掲げ、酒類では日本酒、ウイスキー、本格焼酎、および泡盛を重点品目とし、認知度向上のための施策を積極的に実施しています。国税庁やJETRO、全国卸売酒販組合中央会などを主体として日本産酒類輸出促進コンソーシアムを立ち上げ、海外バイヤーと日本酒の卸売業者をつなぐオンライン商談会にも注力しています。新規で日本酒を海外に向けて発信したいと考えている業者にとって、追い風が続く状況だといえるでしょう。
関連リンク:【徹底解説】海外で人気沸騰!日本酒の輸出手続きと相手国別の注意点
小ロットでも品質を保つことができる「混載」という選択肢
「繊細な取り扱いが必要な“本物の品質”である日本酒を現地の人に味わってもらいたい。」そんなときに活用できるのが混載での冷蔵輸送です。
セイノーロジックスでは、2014年に冷蔵の海上混載輸送サービスである「ひんやり混載サービス」を提供開始いたしました。以来、様々なお客様の日本酒を現地まで輸送してまいりました。
混載輸送の利点は、小ロットであっても海上コンテナ便が利用でき、物量に応じたスペース分の料金だけでお値打ちにご利用できる点です。冷蔵便、冷凍品であっても「ひんやり混載サービス」「ばりひえ混載サービス」では同様の仕組みでの輸送が可能です。
日本酒は高い品質を保ったままの輸送が必須なため、少量でも確実にお届けすることが重要です。また現地の消費者もせっかくの高級なお酒だからこそ、より新鮮で美味しい日本酒を求めています。
セイノーロジックスでは仕向け港側でも保冷倉庫を用意しているほか、冷蔵・冷凍の倉庫を分けて、業界で問題が起きがちな取り違えの事故を防ぐ工夫を行っています。これにより一貫して確実に最適温度を保つことができ、引き渡しまで安心して荷物を輸送・保管することが可能です。
また小ロットでの輸送は、ビジネスのスモールスタートにも最適です。現地での反応を確かめながら必要に応じて輸出量を拡大できるため、初めての海外進出でも最小限の貨物量で海外展開が可能です。
お客様からのご好評の声
サービス開始以来、確実な輸送を心がけてきたこともあり、お客様からもご好評のお声をいただいております。
何度もご利用いただいているお客様も多く、毎月ご依頼くださるお客様もいらっしゃいます。
セイノーロジックスでは今後もお客様からのご意見をサービス改善に反映させながら、安全かつ確実に商品をお届けするべく、「ひんやり混載サービス(+7℃)」および「ばりひえ混載サービス(-20℃)」をご提供してまいります。
台湾KEELUNGの冷蔵倉庫内部
まとめ
日本酒の海外需要増加に伴い、新たに新規参入をお考えの方も多いことでしょう。セイノーロジックスの「ひんやり混載サービス」および「ばりひえ混載サービス」は、混載輸送という性質上、小ロットから始められるメリットがあるためリスクが小さく、仕向地まで品質を保ったままお届けできます。
海外展開をお考えのお客様は、弊社のサービスをぜひご利用ください。